2026.10.13
#顧客フォロー自動化#LINE#Make.com#業務自動化#中小企業#cockpit#フォロー設計顧客フォローを仕組みにする──LINE×Make.comで「要フォロー」アラートをゼロ工数で届ける設計
執筆 on the edge 編集部
「フォローしようと思っていたのに、気づけば2週間が経っていた。」
これは意志の問題ではない。人が頭の中でタスクを管理する限り、他の業務に追われれば押し出される。フォロー漏れを「気をつけよう」で解決しようとしている組織は、毎月同じことを繰り返す。
解決の方向は一つだ。フォローが必要なタイミングを人が判断するのではなく、仕組みが検知して担当者に届ける設計に変える。
顧客管理(CRM)入門では見込み客の状態管理を、顧客離反防止入門では早期シグナルの検知設計を整理した。今回はその「検知後の通知」を自動化する。私たちが自社cockpitで運用している「要フォロー」フラグの設計を起点に、LINE×Make.comで構築するアラートフローの手順を示す。
※本記事の情報は2026年10月時点のものです。cockpit実例は自社内部の運用に基づきます。Make.comの仕様・料金は変更されることがあるため、実装前に公式サイトで確認してください。
この記事でわかること
| # | テーマ | 要点 |
|---|---|---|
| 1 | なぜ自動化が必要か | 人手依存フォロー管理の構造的な弱点 |
| 2 | cockpit「要フォロー」フラグ設計 | 自社実運用の設計概念 |
| 3 | LINE×Make.comの基本フロー | Webhookから通知までの3ステップ |
| 4 | 3つの自動化パターン | 新規問い合わせ・経過日数・行動シグナル |
| 5 | 実装手順 | スプレッドシートから始める最小構成 |
| 6 | 落とし穴と対策 | 設計でよく見落とすポイント3つ |
1. フォロー漏れは「気をつけ不足」ではなく設計の問題
顧客フォローが抜ける原因は、ほぼ共通している。
- フォロー予定を頭の中やメモ帳で管理している
- 「いつまでにフォローする」というトリガーが人の記憶に依存している
- 商談や対応が増えるほど、古い案件が視野から押し出される
担当者が悪いのではなく、人間の注意資源が有限だという前提を無視した設計が問題だ。
解決の方向性は「フォロー判断を人から仕組みに移す」こと。誰かが「そろそろフォローしよう」と思うのを待つのではなく、条件を満たした顧客情報が自動的にアラートとして届く状態を作る。
2. cockpit「要フォロー」フラグ設計の概念
私たちが自社で運用しているcockpit(営業管理・顧客管理の統合ダッシュボード)では、顧客の状態に「要フォロー」フラグを立て、それをトリガーとして担当者へ通知する仕組みを組み込んでいる。
設計の核心は「フラグを立てる条件の明示化」だ。
| フラグ条件 | 説明 |
|---|---|
| 最終連絡から X 日経過 | 設定日数(例:7日・14日)を超えて連絡がない場合 |
| 承認待ちステータスが Y 日超過 | 提案・見積もりへの返答が来ない場合 |
| 行動スキップ | 定期注文・更新の想定日を過ぎても動きがない場合 |
これらの条件はスプレッドシートの関数か、Make.comのスケジュール実行で評価できる。評価結果をLINEやSlackに通知することで、担当者は「毎日リストを確認する」という行動をしなくても、アラートが届いたときだけ動けばよい状態になる。
cockpitではLINEから受け取った情報(音声メモ・テキスト)を文字起こし→部長AIが判断→承認キューへ、というフローが動いている。「要フォロー」フラグはその承認キュー内で立ち上がり、Slack通知で担当者に届く設計だ。同様の構造をスプレッドシート+Make.comで再現するのが今回の目的になる。
3. LINE×Make.comで作るアラートフロー
Make.comは複数のサービスを「トリガー→アクション」で繋ぐ自動化ツールだ。スプレッドシートのデータを読み取り、条件に合致した行に対してLINE通知を送るフローは、コードなしで構築できる。
Make.com×AI活用入門で基本フローの設計手順を整理しているが、顧客フォローアラートの場合、以下の構成が最小単位になる。
[Make.com スケジュール実行(毎朝9時)]
↓
[Google Sheets:「要フォロー」対象行を検索]
↓
[条件分岐:対象行が存在するか?]
↓(Yes)
[LINE Messaging API:担当者に通知]
通知メッセージの例:
【要フォロー】田中様(株式会社○○)
最終連絡: 10/3(14日経過)
ステータス: 提案済み・返答待ち
→ 本日中に確認してください
4. 3つの自動化パターン
パターン1:新規問い合わせ後フォロー
問い合わせ受付日から X 日後に「フォロー確認」アラートを送る。
- 適用場面: 一次返信後、商談日程が決まっていない段階
- トリガー: 問い合わせ登録日+X日(例:3日後・7日後)
- 通知内容: 相手の名前・会社名・問い合わせ内容・経過日数
パターン2:ステータス停滞フォロー
「提案済み」「見積もり送付済み」などの特定ステータスが一定期間変化しない場合にアラートを送る。
- 適用場面: 商談が止まっている案件の掘り起こし
- トリガー: ステータス更新日から Y 日経過(例:7日・14日)
- 通知内容: 担当者名・商談名・ステータス・停滞日数
パターン3:定期接触フォロー
既存顧客に対し、最終連絡日から Z 日経過した場合にアラートを送る。
- 適用場面: 継続取引先・月額サービス顧客の関係維持
- トリガー: 最終連絡日から Z 日経過(スプレッドシートに記録)
- 通知内容: 顧客名・最終連絡日・経過日数
3つのパターンを同時に走らせる必要はない。最初は自社にとって最も損失が大きいフォロー漏れを1つ選んで、そこから始める。
5. スプレッドシートから始める最小実装手順
Step 1 — データ構造を決める
Google Sheetsに以下の列を用意する。
| 列名 | 内容 |
|---|---|
| 顧客名 | 個人名または会社名 |
| 担当者 | 社内担当者名 |
| 最終連絡日 | 最後に連絡した日付(yyyy/mm/dd) |
| ステータス | 例:問い合わせ済・提案中・契約済・休眠 |
| フォロー期限日 | 計算列(最終連絡日+X日) |
| 要フォロー | 計算列(TODAY()>=フォロー期限日 なら「Yes」) |
Step 2 — Make.comのシナリオを作る
- トリガー:「Schedule」モジュール(毎朝9時実行)
- アクション:「Google Sheets - Search Rows」で「要フォロー = Yes」を絞り込む
- アクション:「Iterator」で対象行を1件ずつ処理
- アクション:「LINE Messaging API」で通知文を送信
LINE公式アカウントとの連携設計はLINE公式アカウント×AI活用ガイドも参照。
Step 3 — テスト実行と調整
最初の2週間は「要フォロー」の条件(日数)を厳しめに設定して通知量を確認する。通知が多すぎればX日を延ばし、見逃しが多ければ縮める。
Step 4 — 対応記録を必ず残す
フォロー実施後は「最終連絡日」を更新する運用ルールをセットで決める。更新しなければ翌日もアラートが出続ける。これが属人化を防ぐ仕組みの核だ。
6. よくある落とし穴3つ
落とし穴①:対応後に最終連絡日を更新しない
アラートが来ても対応後にスプレッドシートを更新しないと、同じ顧客に毎日通知が届く。通知文に「対応後は最終連絡日を更新してください」と記載するか、対応ログ列を設けて対応済みフラグを立てるルールを最初に決める。
落とし穴②:通知先が個人のLINEに紐付きすぎる
担当者が変わったとき、通知が前任者のLINEに届き続ける。通知先はチャンネル(Slackや法人LINE)に集約し、担当者割り当ては別の列で管理するのが安全だ。
落とし穴③:条件を増やしすぎて通知が無視されるようになる
アラートが多すぎると「また来た」と流されるようになる。最初はパターンを1つに絞り、対応率が安定してから追加する。通知の精度(本当にフォローが必要な案件だけが来る)を維持することが、システム継続の前提だ。
90日アクションプラン
| フェーズ | 目安期間 | やること |
|---|---|---|
| 準備 | 1〜2週目 | 既存の顧客リストを1枚のスプレッドシートにまとめ、最終連絡日・ステータスを記入する |
| 初期設定 | 3〜4週目 | Make.comシナリオを作成。パターン1(新規問い合わせ後フォロー)だけ稼働させる |
| 検証 | 5〜8週目 | 通知条件(日数設定)を調整し、対応記録の更新ルールを定着させる |
| 拡張 | 9〜12週目 | パターン2(ステータス停滞)またはパターン3(定期接触)を追加する |
よくある質問
Q: Make.comは有料ですか?
無料プランでも月1,000オペレーションまで利用できる。毎朝1回スプレッドシートを読み取り10件以下の通知を送る程度であれば、無料枠に収まるケースが多い。用途が広がれば月額9ドル(Coreプラン)が現実的な選択肢になる。
Q: LINE NotifyはサービスTerminated対応済みですか?
LINE Notifyは2025年4月にサービス終了。代替は「LINE Messaging API」(個人LINE宛)または「LINE WORKS Bot」(法人向け)。Make.comにはどちらのモジュールも用意されているため、送り先に合わせて選ぶ。
Q: CRMツールを導入した方が早くないですか?
SalesforceやHubSpotはフォローアラート機能を内包しているが、月額コストと導入工数が発生する。スプレッドシート+Make.comのアプローチは、顧客数が20件以下・担当が1〜2人の規模では十分機能する。顧客数が増えてからCRM移行の判断をすればよい。
まとめ
フォロー漏れは、担当者の意識ではなく設計で防ぐ。cockpitで私たちが実運用している「要フォロー」フラグの設計は、条件の明示化とアラートの自動送信という2つの要素で成立している。
スプレッドシートにデータが揃っていれば、Make.comのシナリオは1〜2時間で構築できる。まず1つのパターン(新規問い合わせ後フォロー)だけ動かして、フォロー対応率が変わるかを確認する。仕組みが機能することを確認してから、パターンを増やす。
自社業務への適用を一緒に設計したい場合は、サービス一覧から支援内容を確認するか、お問い合わせ(初回相談・無料)からご相談ください。
著者: on the edge 編集部
